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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

「奈美ちゃん、キュウは頼りないからしっかり頼むよ」と莉子はそう言うと、笑って舌を出した。


 奈美はとびっきりの笑顔とガッツポーズで応えた。


「ヒドイよ莉子さぁ〜ん」


 球也が嘆く。


「バァーカ、冗談に決まってっしょ!! しっかりと奈美ちゃんを守るんだよ!!」


 莉子は実のお姉さんのように二人を送り出した。


「あ、待って……これをお忘れなく」


 ペタロが、数枚の折り畳まれた紙を持ってきた。


 塔の地図だ。


「あ、すんません助かります。ありがとございます」


 球也は礼を言ってそれを受けとると、懐の中にソッと入れた。


「球也さーん、奈美さーん、気をつけてーっ! 無事に戻って来て下さーい」


 ユングも自分がいることをアピールするかのように、小さな体で大きく手を振った。


 もちろん、奈美も球也も大きく手を振った。





 間近にいるのに……





 そして、二人は塔に向かって歩き出した。


 心配そうに見る莉子の肩を、ポンとコウヤが叩く。


「間違いないよ。信じよう」


 莉子はキュッと口を結び、強く頷いた。



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