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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

 コウヤは腕組みをしながら、ゲラゲラの姿を想像した。


 コウヤが想像したのは、全身刃物で出来たモンスターだった。


「さて、そうすると生存率の少ないワラワラを、見付けなければなりませんね」とユングが言った。


「あぁ……そうなるとキュウと奈美が向かった塔よりもしんどい作業になるかもな」


 コウヤは気を引き締めた。今までは、デカイ、重い、熱い怪物ばかりだったが、今回は感染という見えない苦しみも敵として向かってくる。


 油断すれば命の危機に関わる。火に弱いという弱点もあるが、薬の材料となる点では簡単に駆除は出来ない。


「よし、じゃあワラワラ探しにいくぞ!!」


 コウヤが唱えると、莉子とユングも後に続いた。



 村の医療所はペタロというポポ(この世界の男性の意味)医師が一人で治療、診察、薬の調合も手掛けている。


「……ん」


 純化が目を覚ました。


「あ、気がつきましたか?」


 机に向かって書き物をしていたペタロが、声をかける。


 純化の目に写るのは、茶色く変色した丸太の屋根に複数のオイルランプ。


 土と木の匂いが鼻に感じる。



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