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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

『ドンドンドン!!』


 扉を強く叩く音が響く。


「はい……」とペタロは扉を開けた。


 そこには、体の大きなひげ面の男が立っていた。


「おいっペタロ!! お前、ここにワラワラ感染者の人間を入れたようだな」


 やたら剣幕をたてて怒鳴っている。


「あぁ、そうだが……それがどうかしたか?」


「さっさとこの村から追い出せ。ワラワラ感染者は、村の外で治療をするはずじゃなかったのか?」


「人間の感染者はどう症状が出るかわからない。人間同士では感染はないと聞くが、あくまで仮説でどうなるかわからない」


「結界の外なら空気感染も免れる!! 外なら我々、村の者にも影響はないはずだ! なぜ感染した人間をかばう!! 我々に何かあったらどう責任をとる!!」


「今は特効薬がない。結界の外に置いておくのは危険だ。それに、ここは生命修復所だ。患者が中にいて何がおかしい」


 ペタロと大男が言い合いを続けていると、純化がゆっくりと起き上がった。


「あっ!! 動いたらダメです」とペタロが純化に近寄る。


「私がここにいたら迷惑がかかるんでしょ? 大丈夫です。私、勇者ですから……怪物と闘います」


 純化は杖を手にヨタヨタと扉に向かう。


「おい……く、来るな!!」


 大男は逃げるように病院を離れて行った。



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