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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

 ペタロは体に薄緑の液体を塗った。おそらく消毒であろう。


 そして革製のカバンを肩からさげ「ちょっと行ってきます」と出ていった。


 純化はベッドの上で、胸を押さえて唇を噛み締めていた。




 球也と奈美はアビラの水を求め、塔までの道のりをゆっくりと歩き続けていた。


 奈美は歩きながら、チラチラと球也の方を見ていた。


 球也は奈美からの時折くる視線に、少し緊張していた。


「どうしたの?」


 球也は思いきって声をかけた。


 奈美はうつむいて首を横に振った。


 ここには十代の若者二人だけ。なぜか、妙な緊張感が二人の間に渦巻いていた。


「あのさ……」


 球也が緊張の空気の中、話の口火をつけた。


「僕がここに来たのはさぁ……変なじいさんに鏡を預かって、夜の12時に見た瞬間にそれに吸い込まれたんや。奈美ちゃんも鏡を預かって、この世界に来たん?」


 奈美は大きく頭を縦に頷いた。


「やっぱり、みんなそうなんや。僕は高校野球やっててなぁ……なんて言うのか……スランプに陥っちゃったんやわ。試合ではみんなに迷惑かけて、せっかく行けるはずやった甲子園、行けんようにしてもうて……」




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