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修練の鏡と精霊の大地

第2章 物語の扉

「それ、いまする話とちゃうがな」


 球蔵は、プイッと横を向く。


「球也、教えたるわ。お父さんの名前なぁ、おじいちゃんが野球好きで、ボールで蔵を建てるくらいになるようにって、名前が球蔵になったんやて。あんたの名前も最初はボールでお金稼げるようにって、『球金(たまかね)』にするって言うてたんやで」


 雛恵の口からでた衝撃の事実。


 危なかった……もう少しであだ名が「たまきん」になる所だった。


 球也は目を閉じて箸を置いた。


「ごちそうさま」


 まさか、聞きたくなかった名前の由来まで聞かされるとは思わなかった。


 母親の雛恵は話が加速すると、言わなくてもいいことを、言わなくてもいい時に言う。


 プロなんて行けるかよ……。


 球也は部屋に戻ると二段ベッドの上の段、自分の場所に上がり、横たわった。


 ふと、ベッドから自分の机の上を見た。


 タクノアンから借りた鏡がそこにある。


 その鏡には、二段ベッドの上から覗く、球也の顔が写りこむ。


「あんなのがなんの役にたつ? ほんまに、解決するんかな?」



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