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修練の鏡と精霊の大地

第2章 物語の扉

 球也は目を閉じると、精神的な疲れがドッと出たのか、そのまま寝息をたてた。


 自分にいざというときの、自信があれば……。


 強いものは自分の思うようにしろと、弱い者に言いすぎる。


 正直、酷な話だ。


 本当に、自分がいるべき場所に帰りたい。


 何も苦しまない世界に行きたい……。


 でも、同じ境遇の仲間がいたなら……一緒に語り合いたい。







 ……にき


 ……あにき


 ……あにきっ!!


 球也は目が覚めた。


「ん?」


 右横を見ると、弟の優也が顔を出していた。


「兄貴、もう寝てんの?」


「寝てんのって、どう見ても寝てただろ」


 中学生の野球部のくせに丸坊主ではなく、パッツンパッツンにワックスで毛を立たせている。


「なんだよ……」


「あのさ、俺の女がさ、クッキー焼いたんだよね。で、兄貴にもって、はい」


 優也はそう言うと、花の模様の入った薄い水色のビニール袋を差し出した。


 俺の女!?


 中学生が使う言葉じゃねぇだろ!!


 球也はそう言いたいのを我慢して、無言で袋を手に取った。



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