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修練の鏡と精霊の大地

第8章 カビと巨人

 その頃、球也と奈美は遠くにそびえ立つ大きな建物を眺めていた。


「あれかなぁ、青空の塔って……なんか、東京スカイツリーにも見える」


 球也がそう言うと、奈美はメモ帳とペンを出した。


[わたし、つうてんかくに見える]


 球也はそれを見て思った。


『俺……大阪やのに、なんでそっちを思い付かんかったんやろ……通天閣が正解やんけ』


 球也は大阪人。だが、上ってみたいのはスカイツリーの方だった。


「よっしゃ! 奈美ちゃん、いっちょ頑張ってあの塔まで向かおう!!」


 例えの失敗を揉み消すように、先に進むことを促した。


<ちょっと待ちや>


 草木の精霊ソーヤが、ひょこっと球也のふところから顔を出した。


「どうしたん?」と球也が聞いた。


<あれ、近くにあるように見えるけど、まだまだ遠いで>


「マジで!? え、あとどのくらいのもんなん?」


<そやなぁ……あれ、高さが802メートルあるから……>


「は……802メートル!? むっちゃ高いやん!!」


<後、3キロほどや思うわ>



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