テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「えっ!? ワラワラいたんですか!?」ユングは目を見開いた。


「いたんですかじゃねぇ!! すぐそこにいるよバカっ!!」とコウヤが自分の後ろを指差した。


 莉子が後ろを向くと、ワラワラこっちに向かってくる。


「うわっ!! うそぉっ!! 来ちゃったじゃない」


 あれだけヤル気だったはずが、正面から来られると戦意喪失するようだ。


「莉子さん、コウヤさん、すいません。俺のことはいいっすから、闘って下さい」とユングは痛々しい口調で言った。


 莉子はユングの手を握った。


「なに言ってんの……大事な仲間なんだから、見捨てられるわけないでしょ」


 ユングは心を射たれた。こんな自分を、仲間として見てくれたことに感動したのだ。


『グウォーーッ!!』


 ワラワラが吠えながら近付いてきた。


「なめんなっ!!」


 コウヤは自らワラワラの前に立ちふさがった。


「気付かれようが気付かれまいが、俺はこいつとやるつもりだった。かかってこいやっ!!」


 コウヤは武器を手放し、素手で構えた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ