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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

 その間に、莉子はユングにバンタリンの薬を差し出した。


「早く、これを飲んで」


「恐縮です」


 口に入れると、瞬く間にユングの足は完治し、痛みも無くなった。


 ユングは改めて薬の凄さを実感した。


「莉子さん、ありがとうございます。これ、凄いっすね」


 あまりの速さで回復したためユングは驚き、足でトントンと地面を鳴らした。


「コウヤさん、もう助太刀できますよ!!」とユングが前に出た。


「バカ野郎が! てめえばっかいい格好してんじゃねえよ。しとめてやるよ」


 だが、またもワラワラは立ち止まってしまった。


「なんだこいつ? ヤル気あんのか?」


 コウヤも拍子抜けしてしまう。


「おい、このカビ野郎! 腕の一本でもくれるってんなら、逃がしてやってもいいぜ」


 ユングはわざと挑発してみせた。


 ワラワラは立ち止まったままピクリともしない。


 また、生態がよくわからないため、こちらからはうかつに手が出せない。


 だが、ワラワラはとんでもない行動に出た。


 なんと、自分の左腕をグッと掴み、そのまま思いっきり引きちぎった。


「!?」


 あまりの行動に、声がでなかった。


 さらにワラワラは、地面にそれを置いて後ろを向いた。



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