テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

 三人はワラワラの意外な行動に、声を失った。


 ワラワラは、ゆっくりと去っていった。


 ハッと現状に気を戻した莉子は、慌ててビンの中にワラワラの手を詰めこんだ。


「さ、採取できた! できたよ!!」


 莉子は興奮状態だ。


「え……終わり?」


 コウヤは放心状態だ。


 片腕を失ったワラワラは、三人から離れ、遠くにいった。


「どういうこと?」とコウヤは頭をひねる。


「とりあえず、たっぷりと取れたからいいんじゃない?」


 莉子は無事にやり終えたことに、安堵の表情を浮かべた。


 ユングも地面にペタリと座りこんだ。


「素直に言うことききましたねぇ……。あんなの初めてだ」


「あれって、人間の言葉がわかるのか?」とコウヤが尋ねる。


「いや、それは聞いたことがない。謎がそれだけ多いんですよ。だから、その手の成分を調べてもらうしかない。とにかく、それをまず持っていきましょう」


 ユングがそう促すと莉子もコウヤもそれに従った。


 ビンの中に入ったワラワラの腕はサラサラと崩れだし、カビの粉と化していた。




 村では診療所で、ペタロと、仲間が戻るのを待っている純化がいた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ