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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

 病気と言う不安に襲われながら、ベッドの上で一人横たわる。


『カチャ』


 ドアが開いた。


 純化は横になりながら、ドアの方に目線を移す。


 そこにいたのは村人だろうか?


 全身に布きれをまいた者が数人立っている。見た目からコウヤ達ではないのは明らかだ。


「誰? 先生なら、いまいない」と純化は、弱々しい声で言った。


 すると、一番前に立っている人物が純化に向かって言った。


「ワラワラの菌に感染したそこの人間! さっさとこの村から立ち去ることを命じる。すみやかに、ここから出ていってもらおう」


 声からして男と思われる。


 だが、純化は徐々に体力を失っていた。


 薬の効き目が弱いのだろう。


 純化はゆっくりと体をおこした。


「うちが感染者やからそう言うんやね……そこまで言われるんやったら出るわ……」


 純化はフラフラになりながら、ベッドから下りた。


 立ち上がると息苦しくなる。


 ジワジワと汗が出る。


「さっさと出るんだ!! 早く!!」


 村人は純化をせかす。


「待ってえや……必ず出るから……力が入らへんねん」


 純化は必死にそう訴えた。



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