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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

「伝説の戦士か……なるほど、お前だったらわかる気がする」


 そう言って、コウヤは笑った。


「コウヤさんは、なんでコウヤと……」


「本名だよ!!」


 二人は走り続けた。


 やがて、前方の二人の姿がはっきりと目に写りだす。


「えっ!? なんか、違うぞ」とコウヤが目を細めて言った。


「ちょっとコウヤさん、あれって……」


 ユングは足を止めた。


 コウヤも同じように立ち止まった。


 二人の目の前にいたのは、片腕を失ったワラワラと、一人の初老の男性だった。


「あれ、ワラワラじゃねぇか!? でも、あのワラワラって……」とコウヤが指差して言った。


「間違いないですよ……やつです」


 ユングはそう言って一歩ずつ下がる。


 風にのってワラワラの粒子が流れる恐れがあるからだ。


「あのおっさんは誰だ? 妖精か?」


 コウヤは目を細くして眺める。


 茶色いポンチョをまとった、少し小柄な男性だ。


「見た目だけじゃわかりませんね……」


「直接聞いてみるか?」


「ワラワラが近くにいますよ!!」


「あのおっさんは何者なのか? それだけ知りたい」


 そう言ってコウヤは歩み寄った。



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