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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 ワラワラのそばにいる初老の男性も、二人の存在に気が付いた。


 とても柔らかい目付きで二人の姿をとらえていた。


 コウヤとユングは、男性の元に寄った。


 コウヤはジッと視線を送る。


 男性はそれを笑顔で受け止めていた。


 ワラワラは、こちらの様子を窺っていた。


 男性はワラワラの体を軽くさすった。


 その行動を見たコウヤはさすがに怯んだ。


「す、素手で触りやがった」


「コウヤさん、あれはまずいでしょ」


 二人は下がり始めた。


「これ、まだ挨拶もしとらんのに退くとは失礼じゃろ」


 男性が声をかけた。


「おい……失礼もなにも、そいつワラワラじゃねえか。病原菌の塊だろ」


 コウヤは少々、声を荒げめに言った。


 男性はワラワラの体をポンポンと軽く叩いた。


「アッハッハッハッ、と言うことは、まだこの生物の生態についてはあまりよく知らないようじゃな」と男性は高笑いをして言った。


「いや、訳わかんねぇ……なんだよそれ」


 コウヤが尋ねると、男性は再びワラワラの体をさする。



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