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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 男性はワラワラの体を、再びさすりながらそう言った。


「てか、あんた誰なんだ?」とユングが仏頂面で尋ねた。


 それを聞いた男性は、呆れた表情でユングを見た。


「おいおい、そりゃないだろ。わしはあんたがいた村に行って、あんたにケンカを売られたんじゃぞ。酷いもんじゃのぅ」


 それを聞いたユングは、瞬時に思い出した。


「ああっ!! そうだ、あんた、あん時のじいさん!!」


 それを聞いて、コウヤもハッとした。


「まさか……小人の村に精霊の石を預けたって人!?」と男性に人差し指を向けた。


「思い出したならそれでいいわぃ。おぬしも大変だったのぅ。火傷は大丈夫か?」


「えっ!?」


 コウヤは目を丸くした。


「洞窟でゼラチンみたいなやつを燃やして、苦しんでいたじゃろ。あの火を消したのはわしじゃ」


 そう、洞窟で火に包まれたゼラチナスオイルキューブに挑んだ時、向こう側で手助けをしたのがこの男性だった。


「そうだったんだ……そうとは知らずに……すいません、ありがとうございました」とコウヤは深々と頭を下げた。


「いやいや、かまわんよ。わしは淀屋橋太助(よどやばしたすけ)と言って、あんたらと同じ人間だ。ただ、ここにはもう3ヶ月もいるがな」



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