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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 その頃、球也と奈美は……。


「……」


「……」


 入り口らしき扉の横にある、大きくて四角いモノの前に立っていた。


「奈美ちゃん……どう思う?」


 球也が尋ねると、奈美は頭を傾げる。


 160センチほどの長方形の箱には、四角いボタンが3つと、何かを取り出すものと見られる四角い穴があった。


「どう見ても券売機にしか見えへんのやけど……こんな世界に有料の塔なんてあるんかよ?」


 球也はボヤきながら、村でもらったお札を出した。


「ここに入れるんか?」


 ボタンのようなものの下にある、細長い隙間の中にお札を差し込んでみた。


『ガァーー』


 お金はスルスルと中に入っていく。


「あっ!! 入った!」


 と、一旦スムーズに入ったものの、すぐさまお札は戻ってきた。


「え!? マジか……」


 球也は戻って出てきたお札を取る。すると、そこに奈美が手を出した。


「ん? どうするん?」


 球也はお札を奈美に渡した。


 奈美はそれを受け取ると、両手で広げ、丁寧にシワを伸ばしはじめた。




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