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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 球也は奈美の行動をやや苦笑いで見ていたが、今はもっと苦笑いな状況に遭遇していると思い返し、それを当たり前と受け止めるようにした。


 奈美はピンと張ったお札を、球也に手渡した。


「あ、ありがと」


 球也はそれを受け取ると、ゆっくりと券売機のようなものに差し入れた。


『カチャンカチャンカチャンカチャン……』


 小さくて丸い銀板が、ジャラジャラと音をたてて、たくさん落ちてきた。


「……両替?」


 球也はマジマジと、コインのような銀板を見つめた。


「まさか、ゲームセンターのメダルコーナーみたいなのがあるんじゃないだろうな……」


 球也はとりあえずそれをかき集め、布袋の中に入れた。


 ただ、荷物が重くなっただけだった。


「なんやねんこれ……ここは笑うとこなんか?」


 ずっしりとした袋が腰に食い込む。球也のヤル気がどんどん下降していく。


 しかし、薬を作るために必要なアビラの水はここにしかない。意地でも汲み上げてこなければならない。


「純化姉ちゃんのためだ。やらなきゃな」


 球也は塔の入り口の前に立った。



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