テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 扉をよく見ると、手を引っ掛けられるようなくぼみがあった。


 球也は何気にそのくぼみに手をかけた。


『ガラガラガラ……』


 スムーズに扉は開いた。


「わからん……この世界の物の仕組みがまったく理解出来へん……」


 球也は思わずしゃがみこんだ。


 奈美がポンポンと肩を叩く。


「!?」


 球也が顔を上げると、キリッとした表情で見つめる奈美の顔が見える。


 この世界に引っ掻きまわされて、うろたえてはダメだ。球也はあえてそう思い、立ち上がった。


 二人は恐る恐る中に入る。


 何がおこるかわからない。ここは自分が奈美を守らなければならない。


 球也は気合いを入れた。ここは遊園地のお化け屋敷のようにはいかないのだ。生きて出られるとは限らないのだ。


 巨大な怪物が出ないという可能性もない。


 今まではコウヤが率先して闘ってきた。


 自分もやらなきゃ……。


 中に入れば、この塔が四角い石のブロックが交互に積まれて建てられているのがわかる。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ