テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 だが、目の前には、巨大な壁が進入を妨げるかのように立ちはだかっていた。


 そこに扉がなければ階段もない。


 いきなりの障害物に二人は戸惑った。


 球也は、ペタロから頂いた塔内の見取り図を見た。


 大きな円の真ん中に一本線が引かれ、その下に何か文字らしきものが書いてある。


「何が書いてあるのか読めねぇ……」


 この世界の文字だった。


<えっと……人間の世界にあった機械をヒントにした仕掛けがある>


 草木の精霊ソーヤが読み上げた。


「えっ!? ソーヤ、これ読めるん?」


<当たり前やん。この世界におったら常識やで>


「なんや、それやったら話が早いわ。てか、この世界の精霊が関西弁てのも変な話やな……」


 球也の目が、驚きから感心に変わる。


 すると、奈美があるものを指差した。


「なんか見つけた?」


 奈美が指差す方向に目を向けると、なにやら見覚えのあるものが佇んでいた。


「え!? あれって……」


 球也はそれに近付いた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ