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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

「わかった。とにかくお互いに気をつけて行こう」


 ユングはコウヤの案を了承した。


「何があるかわからない。ユング、この石を持っててくれ」と言うと、コウヤはユングに精霊の石を渡した。


「これは?」


「実は村を出る時に、純化から預かったんだ。なにかの役にたつはずだって」


 それは、純化が小人の村で譲り受けた、虹と光の精霊石だった。


「たしか小人仲間が持ってた石じゃんか……結局は同じ小人の手に渡ったってことか」ユングはおどけて言いながら、それを受け取ると、懐の中におさめた。


「じいさんはどうするんだ?」とコウヤが淀屋橋に尋ねた。


 淀屋橋は微笑みながら腰を叩いた。


「もとからこの体じゃ。闘いとかあっても、全部精霊達に任せていた。闇神様も暗黒仏さんも、お前達の若い力に任せよう。頼んだ」


「そうか……わかった。また、会うことがあるかも知れない。じいさんも気をつけてな」


 コウヤは淀屋橋に会釈すると、ユングに向かって拳を構えた。


「また、後でな」


「200%また会うよ」ユングはそう言って親指を立てた。


 二人は笑顔を見せ合い、それぞれの方向に向かって走っていった。


 淀屋橋は地面に腰かけると、フッと短く息を吐いた。


「うむ、彼らならやれるじゃろ……じゃ、またな」そう言って、ワラワラから離れて言った。




 塔にいる球也と奈美は予想外な展開に困惑していた。


 球也はさらに重くなったコイン袋を腰に引っ掻ける。


「うおおおぉぉーっ!! 重いやんけぇぇーっ!!」


 足をプルプルいわせなから、ゆっくりとスロットから離れていく。



『ゴゴゴゴゴゴ』




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