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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 そう、どの箱に何が入っているのか、凶と出るか吉と出るかは、開けてみた時でないとわからない。


「簡単じゃないか」と球也が言う。


<余裕やね>


「階段の大きさから考えてこれしかないやん」


 球也が選んだのは、天井までとどくほどの大きな箱だった。


「これを開けたら、上に通じる四角い穴もある」


 そう言って側面にある取っ手を握った。どうやら、大きな箱はこれを握って開けるらしい。


<せやけど大丈夫か? そんな安易なもんとちゃうかもしれへんで>


「いや、これは舌切りすずめの裏をかいたんや」


<舌切りすずめってなんや?>


 球也はその昔話を簡単に説明した。


「ようは、おじいさんか拾ってきたすずめが、おばあさんのせんたくのりを食べたんや」


<えっ!? すずめってせんたくのりを食べるん?>


「いや、知らんけど……当時のすずめは食うたんちゃう? おばあさんは怒ってすずめの舌を切ったんや」


<そりゃ、食うたすずめが悪いやろ。で、そんなエグいシーンを物語のタイトルにしてるん?>


「いや、誰がつけたか知らんけど……のり食いすずめも変やろ」


<で、どの辺りから大きいつづらと小さいつづらが出てくるん?>


「お前、話知ってるやろ」


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