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修練の鏡と精霊の大地

第2章 物語の扉

 顔が映った。しかも、自分の顔ではない。


 すると、今度は小さな女の子がこちらを覗いている。小学生くらいだろうか?


 球也は怖くなって、薄目を開けて、顔を背けながらチラチラ見ていた。


 女の子はこちらに向かって、手を振っている。


「えっ?」


 球也はしっかりと鏡を見据える。


 試しに手を振ってみた。


 すると、向こうも振り返してくる。


「なんやこれ……この鏡につながってんの?」


 球也は一度後ろを向いて、弟、優也の様子を気にした。


 今度は大人の女性や老人男性、自分と同じくらいの少年が覗いている。


 試しに手を振って会釈してみた。


 向こうはこちらを指差して、何かを言っている。


 何を言ってるのか、まったくわからない。


 球也は鏡に触れてみた。


『ピチャッ』


「えぇっ!!」


 手先が濡れた。


 鏡には水が張ってある。


「なになになに……」


 もう一度、鏡に触れてみた。


 右手がズブズブと鏡の中に入って行く。


 まるで池の様だ。



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