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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 奈美は、飛ばされたメモ帳とペンを取りに、走り寄ろうとした。


 だが、そのライオンは、素早く奈美の目の前に飛び出してきた。


 その時、メモ帳とペンは、運悪く、ライオンの後ろ足の底に踏みつけられていた。


「!!」


 奈美は、風にあおられ、後ろにのけ反った。


「こらぁーーっ!!」


 ライオンの背後から、剣を持った球也が飛びかかる。


「相手は奈美ちゃんじゃなく、俺だろぉーっ!!」


 勢いよく向かっていった球也だが、ライオンがまとった風に巻き込まれ、簡単に弾き飛ばされてしまった。


 球也は壁で背中を強打した。


「ぐぅわっ!! いってぇ……」


 背中に激しい痛みが走る。この痛みは野球の試合のデッドボール以上だった。


「奈美ちゃん……逃げろ!!」


 痛みに耐えながら奈美に伝える。


 奈美は呆然と立ち竦んでいた。恐怖で体が動かない。


「ソーヤ!! なんなんだよあれ!!」


 球也の問いかけに、懐の中からひょこっと顔を出した。


<あんなん初めて見たわ!! なにあれ!?>


「マジで!? いや、あれは、危ないって……」


 球也は痛みを堪えて立ち上がった。



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