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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 ズシッと腰にくるものがあった。


「えっ!?」


 それは腰から下げた袋の中の、コインの重みだった。


 さっきは無我夢中だったため、重たいのを忘れて飛びかかっていた。その時は、普通に重さを気にせずに剣を手に走っていた。


「よし……」


 球也は何かを思い立ち、腰から袋をはずした。


「奈美ちゃーん!! いくぞーっ!!」


 そう叫ぶと、球也は懐から火の精霊石を出した。そして、両手でしっかりと握り、おもいっきりぶん投げた。


「むっちゃごっつい炎を、吹き付けたれーっ!!」


 石は炎に包まれながら、ライオンに向かっていった。


 人型に変わった火の精霊は、風力の勢いが小さい尻尾につかまった。


 そして一気に、大きな炎を噴き出した。


 ソーヤが顔を出す。


<投げただけやったら、袋をはずす必要なかったんちゃうん?>


「重たいのを取って飛びかかるつもりやったけど、やっぱ痛いのいややから精霊に任せた」


<ほんなら、これ食うたら倒せるんちゃう?>


 ソーヤは1枚の葉っぱを出した。


<パワーリーフの10倍バージョンや>



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