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修練の鏡と精霊の大地

第10章 老人と塔

 火の精霊は、キュッと丸くなって石と化した。


 だが、固い塔の壁には歯がたたず、石となった火の精霊は木っ端みじんに砕け散ってしまった。


 ライオンの気はそちらに向いていたのだろう。


 球也の存在は、前足に痛みが走るまで気がつかなかった。


 球也の剣は、ライオンの左前足をぶった切り、そこそこ大事そうな筋をも切り裂いていた。


 ライオンはその巨体を横にして倒れてしまった。


「命だけは助けたるわ。早よ箱の中にもどれ」


 球也はそう言って剣を背中のさやに入れた。


 奈美は粉砕された、火の精霊石を両手で集めていた。


 そんな奈美の元に球也は近寄った。


 ひょいとソーヤが球也の懐から顔を出した。


<これがおらんかったら、ライオン倒されへんかったもんな。火と草は近付けたらアカンねんけど、助けてくれておおきにと礼を言わなあかんなぁ>


 ソーヤは飛び出して、火の精霊石のかけらを一粒手にした。


「いや、ソーヤがあの葉っぱをくれへんかったら、勝たれへんかったわ。精霊がいてくれたから助かったんや」


 球也はそう言うと、唇を噛みしめ、奈美の手のひらに集まった火の精霊石のかけらに手を置いた。


<まあ、かけらをまとめてたら2日で元に戻るんやけど>


「戻るんかいっ!! むっちゃしんみりしたわっ!!」



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