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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 球也は下から見上げていた。


 奈美が上から笑顔で手招きをする。


「いや、あのライオンの上で笑顔で招かれても……」


 そう言いながら、怖々と階段(ライオン?)に近付いた。


「これを上っていくなんて、誰が想像するよ」


 球也は固まったライオンの体に手をつきながら、下を見ずに一段ずつ上がった。


「うわわわわ、この階段、みつ豆の寒天なみの透明度やん。案外怖い」


 徐々に足の下が高くなっていく。少しでも下を見ると、足がすくむ。


「奈美ちゃん、よく平気で上がれるなぁ……」


 奈美はヒョイヒョイと先に、次の階まで進んでいった。


 球也はまた奈美のパンツが見えないかと、わざと腰を屈める。


<コラッ!! あんさん、なにしてんねん!! さっさと上にいきや!!>


 ソーヤが細い木にのって叱咤する。


「うわぁっ!! ビックリした!! み……見てないって!!」


<見てないって、なにを見ようとしてたん?>


「い、いや別に……てか、そんな木がよく生えてたな」


<あんたがうちを置いていくさかいに、わざわさ自分の力使って上ってんねん!!>



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