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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 草木の精霊ソーヤ自らの力で、球也を追いかけてきた。


 球也は両手を伸ばして、ソーヤを手に乗せた。


 ようやく次の階にたどり着けた球也は、辺りを見渡した。


 奈美が立ちすくんでいる。


「なんだよここ……」


 目の前が全面、壁に塞がれていた。


 奈美が駆け寄ってきた。なにか言いたいのだろうが、紙とペンを失った奈美に意思を伝える手段がなかった。


「待って、奈美ちゃん。ゆっくりと口をパクパクと使って言ってみて。なんとか読み取るからさ」


 球也は例えて見せた。


「いいかい、花火って言う時は……」と球也は声を出さずに「は」「な」「び」と言って見せた。


 意味がわかったのか、奈美はうんうんと頷いた。


 奈美はゆっくりと口を動かした。


『や す み ま し ょ う』


 球也は頭をひねった。やはり、一回ではわかりにくい。


「ん? もう一度お願い」


 奈美はもう一度、ゆっくりと言った。


『や  す  み  ま  し  ょ  う』



 だが、球也はこうとらえた。


『ハ グ し ま し ょ う』


「そんな、奈美ちゃん大胆な……」


 数秒後、この階に謎の『バシッ!!』音が響いた。



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