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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 ユングはそう呟きながら、一時の眠りについた。




 青空の塔では、顔に真っ赤な手形をつけた球也が、壁を調べていた。


 奈美には自分の質問に対して、頭と手の振り方で対応してもらうことにした。


 奈美の耳はしっかりと聞こえている。それが、救いだった。


 奈美は申し訳なさそうに、壁にもたれてうなだれていた。急にハグされそうになれば、抵抗するのは当たり前だ。


 ソーヤはペタロの書いた見取り図をながめている。


<うーん、この階は迷路になってるけど、わかりにくいわ>


「どれ」球也が覗き込む。


「なんじゃこれ? うねうねと線が書いてあるだけじゃん」


 ペタロも迷路の地図は書きにくかったのだろう。だいたいの略図でおわらせている。


「こんなのわからんわ!! 適当すぎるのもほどがあるわ!!」


<でも、壁づたいに進むとか、なんたらかんたら……>


「壁づたいにって……入り口があらへんがな」


 球也は迷路の入り口を探しだした。


「この塔の入り口からわけわからんかったし、きっと、わけわからんカラクリがあるんやで……」



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