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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

「え、すぐ渇くのか?」


 球也は温度を確かめるため、壁に手をついてみた。


 だが、その手がズブッと壁に吸い込まれていく。


「わっ!?」


 勢いのあまり、球也は上半身ごと壁に吸い込まれていった。


「うわわわわっ!! やべっ」


 バランスをくずし、前のめりに倒れそうになる。


「わあっ!!」


 倒れまいと、右足が三歩分前に出た。


『ビチャッ』


 なにか水溜まりを踏んだ。


「えっ!?」


 球也は倒れず、目の前にある壁に手をついていた。


「……」


 状況がわからないまま目線を下に向けてみる。


 下の方はビチャビチャに濡れ、球也の左足はまだ後ろの壁に埋もれたままだ。


「なに……?」


 球也は左足も前に出した。


 二本の足は水溜まりの上に立っている。


 目の前にあるのは全面壁だ。


 後ろを向いてみた。


 もちろん、後ろも壁だったが、球也はなにを思ったのか、壁に手をついた。


 壁に固さはなく、埋もれていくように手が入る。


「えっ!? マジで! 見つけたんちゃうん」



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