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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 一歩二歩、足を進めた。


 さすがに顔は、目を開けたままでは抵抗があった。


 目を閉じて、全身を前に出した。


 ゆっくりと目を開けた。


 その目の先には、眠っている奈美の姿が見える。


「そうか……この壁は一部分だけが幻みたいなもんなんだ。つまり、壁づたいにってことは……」


 球也はガッツポーズをとった。


「謎は解けた! ションベンのおかげだな」


 だが、そのションベンの溜まりを、足で踏んずけてしまっていることに気がついてなかった。


 球也は奈美の隣に座ると、同じように眠りについた。





 場所は変わる。



「ん……」 


 コウヤは眠りから覚めた。


「あれ? 眠ってたのか……」


 慌てて上半身を起こした。だが、さっきとまったく様子が違う。


「あれ?」


 辺りを見る。ものすごく見覚えのある場所だった。


 汗臭い室内に、ゆっくりと回る扇風機。


 床に転がる20キロのシルバーダンベル。


「!」


 コウヤは立ち上がった。


 自分の姿は、赤い短パンに白いタンクトップ。背中には斧はない。


「ちょっと待てよ……これって……」


 テーブルに目を向けた。



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