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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 あれは夢か幻を見たんだ。コウヤはそう思うことにした。


 だが、心のどこかに、みんなを残して戻ってきていることに、罪悪感があった。


 球也と奈美、純化が心配だった。莉子とユングも気にかかる。あれも夢だったのかと……。


「あっ!!」


 コウヤはあることを思い出した。


「佐田勇樹」


 リアルバトルU3所属の、総合格闘家だ。


 旅の途中、巨大な肉食樹のプランツリに追われてる途中に助けてもらった、性格の悪い男。


「もし、やつに連絡がとれたら……」


 浴室から出たコウヤは、バスタオルを腰に巻くと、急いで自室に向かった。


 その時だった。


『プルルルル、プルルルル』


 電話がなっている。


 それも夜中に電話。ここはオリオンプロレスの寮と練習場だ。電話は寮の玄関にしかない。


 こんな時間にかかってくるってことは、ほぼ間違い電話か身内からだ。


 寮にいる選手は若手と練習生。しかも、いま電話の近くにいるのは自分だ。


 コウヤはしぶしぶ電話に出た。


「はい、オリオンプロレス寮です」


『事務所の船橋です。遅くにすいません』


 オリオンプロレスの事務所にいる、社員の船橋からだった。


「あぁ……矢崎コウヤです」



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