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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

『もしもし』


 出た。


 その声は間違いなく莉子だ。


 コウヤはゴクリと生唾を飲んだ。


「もしもし、あのオリオンプロレスの矢崎コウヤと言います」棒読みでよそよそしい。


『あっ!! コウヤ!? よかったぁ』


 どういう意味の「よかった」なのだろう?


「あ、あの……莉子さんだよね?」とコウヤは恐る恐る聞いた。


 あれが夢だった場合、ただのファンに電話をかけただけに終わってしまう。


『あ……そうだよね。私も探り探りだったんだ。ちょっと聞くけど……妖精の世界でキュウや純化と旅をしたことない?』


「!」


 間違いない。コウヤは確信した。


「桃尻娘か」


『そうっ! やった、つながったぁ』


 電話の向こうから大喜びをしてる様子が、見えてくるようだった。 


「やっぱりあの世界は夢じゃなかったんだ。でも、よくここの番号わかったな」


『あなたがプロレスラーでよかった。パソコンで検索したら出てきたもん。それで所属団体も表記してあったから、すぐに電話番号を調べてかけたの』



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