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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 莉子は声を微かに震わせている。泣いているのだろう。


「なぜ元に戻ったんだ? 俺と莉子だけか?」


『わからない。服も全部戻ってるし、時間も5分と経過してないし、おかしなことばかりだけど……』


「なに?」


 時間は気にしていなかった。 


 コウヤは練習場のジムに行き、壁にかかるデジタル時計を目にした。


 0時5分


 時間も日付も、まったく変わっていない。


「わずか5分しか経ってないのか!?」


『それに、鏡はもう普通の鏡になっちゃってるし、いったいどうなってるの?』


「あれは夢じゃないことはハッキリした。他にこの現代に戻された者がいないかどうかだ……」


『そんなの、純化もキュウも、奈美ちゃんもユングって名の小さい人も、連絡先なんか聞いてないし……』


「いや、一人いる」


 コウヤはキッパリと言った。


『えっ!? 誰よ?』


「あのでっかい木に追いかけられた時に出会った、格闘家がいるだろ」


『あっ!!』


 莉子は思い出した。


「佐田勇樹だ。あいつの所属する団体を調べればいい。あいつがもしいなかったら、まだあの世界にいると思っていいだろう」



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