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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 球也は、あるものに気が付いた。


 その目線の先には、天井から黒くて丸いものが、フワフワと浮いている。


「なんやろ、あれ? 怪物かなぁ?」


 そう言って球也が指差した。


<うちが見る限りは、怪物やあらへんなぁ>とソーヤが顔を出した。


「あれ、なにかわかる?」


<う〜ん、怪物やない以外は、あれがなんなのか、ようわからん。食い物かなぁ?>


「あれ、食えるの?」


 黒光りしている球体の中に、何やらゴソゴソとうごめく、黄色いウナギのような物体が見られる。


「いや、あれ、ほんまに食えるんか!? むっちゃ、ウニょってるぞ!?」


<食うてみなわからん>


「それが素直な答えなんやな」


 と、言ったその時。







『ボンッ』




 破裂した。




『カランカラン』


 破裂したその下に、一本の矢が落ちた。


 なにがあった……


 球也とソーヤは顔を見合わせた。


 奈美が弓を片手に、険しい表情で立っている。


「な……奈美ちゃん」


 気軽に話しかけるのが怖いほどにの威圧感があった。


<うわっ!! あんた凄いなぁ!! 一発やんかぁ!!>


 さすがにソーヤは、この程度なら怖さを感じないのだろう。


 この世界で数々の怪物を見ているのだ。


 人間の小娘ごときに、恐怖は感じない。



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