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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 地図はただの破れた紙切れと化していた。


「これはおそらく、動くやつらをかわしながら先に行けっていうことやろなぁ」


 球也は苦い表情で、ゆっくりと向かってくる石像を見た。


 奈美は球也から矢を受け取ると、周りをキョロキョロとしはじめた。


 先ほどの階のように、なにか仕掛けがあるのかどうかを、探しているようだった。


<なぁ、頑張ってあの中央まで走ってみいひんか?>とソーヤが言った。


「嘘やろ!! あんなん危険すぎるやん。他、方法あるやろ」


<いい考えがあんねんて。それに今さら、地図みる余裕もあらへんやん>


「確かになぁ。さっき、チラッと見たら、あの破れたのが、ここの階のやつに見えたわ。石像みたいな絵があったし……」


<運とタイミングが悪すぎやわ!! とにかく、あいつら動きは遅い。走ったらなんとかなるかも?>


「いや、言うけど、走ったらどうなるんや? なにがあんねん? なにを試そうと思ってんねん?」と球也は尋ねた。


<あそこまで行ったらわかる。とにかくあそこまで走ろ>


 球也はゴクリと息を飲んで、頷いた。



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