テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 ソーヤが奈美の肩から、ピョンと飛び下りた。


<これ、これ>


 ソーヤが地面を示した。


 そこを見ると、緑色をした小さな植物の芽があった。


「これがどないしてん? ただ、ここで発芽した雑草ちゃうん?」


<過去、ここに来た人の衣類に付着した種が落ちて、ここで芽を出したんや>


「能書きはいいから、早くしろよ!! やつらが来るから!」


<わかった! いくで!!>


 ソーヤは、その小さな体に力をこめた。


 すると、ソーヤの体に黄色い光がまとまわりだした。


「なにがおこるん?」


 奈美に聞いたが、奈美は頭を傾げるだけだ。


<よし……伸びろぉーーっ!>


 ソーヤのかけ声で、その芽が太く大きく育ちはじめた。


 それはグングンと伸び、枝をつけ、葉をつけた。


<この枝に乗って!>


 ソーヤの言う通りに、二人は枝につかまり、体を預けた。


「これ、なんだよ!?」と球也は問う。


<これは、鉄柱樹(てっちゅうじゅ)やねん。鉄樹とも言うんやけど、鉄の様に硬く育つから、村の人は、鉄の代用で使いはるねん。でも、水のない場所で、芽が育つなんてありえへん。これ、アビラの水で育ってんねん>



ストーリーメニュー

TOPTOPへ