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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

「て、ことは?」


<アビラの水はこの塔をしみて、上に貯まってくんや。この鉄柱樹を伸ばして、上の階まで貫いて進むでーっ!!>


「ま、マジかぁーっ!!」


 木はグングンと伸び、天井を押し上げる。


 パラパラと砂と共に小石が、降り落ちてくる。


<もっと、もっと育てぇー!>


 草木の精霊である、ソーヤの本気のフルパワーだ。

「スゲェー! やるな、ソーヤ!」


 鉄柱樹の太さが、街路樹ほどになってきた。


<このままこのまま、どんどん太く硬く伸びて、奥に突き上げてぇー!>


「ソーヤ!! 別の表現に聞こえるからその言い方ヤメロ!!」


 球也、思春期真っ最中。


『ドーン!! ドーン!!』


「おい、なんだこれ!?」


 木が揺れている。


 奈美が下を指差した。


 石像が鉄柱樹を揺らしているのだ。


「や、やべぇっ……おい!! ソーヤ!! 早くしろよ!!」


<待って……頑張ってるから>


 ソーヤの体にまとう光が強くなった。


 数体の石像が、木を揺らす。


『ドーン!! ドーン!!』


「うわぁっ!!」


 球也がバランスを崩した。グラリと横になり、足だけで真っ逆さまになった。


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