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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 奈美は歯を食いしばって手を伸ばすが、後10cm足らずが、届かなかった。


 早くしなければ、球也が落とされて死んでしまう。


 奈美の心の中に、どうしようも出来ない悔しさとはがゆさ、悲しみと怒りが交差した。


 大粒の涙が目からこぼれ、頬をつたい、落ちていった。


 サソリの尻尾の先の針が、球也の服に引っ掛かった。


 奈美は大きく息を吸った。


 そして、奇跡がおきた。




「死なないで、キュウヤァーー!!」




 奈美が叫んだ。


 声をだすことが出来なかった、奈美の声が響いた。


 奈美の必死の思いが、声を取り戻したのだ。


 ソーヤがその声に震え、再び力を取り戻した。 


<うおおぉぉーーーっ!!>


 微量だが、力を鉄柱樹に注ぎはじめた。


「球也、頑張って! 球也!!」


 奈美が懸命に声をかける。


 涙が一滴、また一滴と、球也の額に落ちる。


「な……奈美ちゃんが喋ってる! 喋れるように……なったんやね」


 苦しいはずなのに、球也の表情は笑っていた。


「頑張って……死なないで……」


「ごめん、無理……もう、ヤバいわ」 


 球也の腕は限界にきている。


「ソーヤ!! なんとかして!!」と奈美が願う。 



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