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修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

<頑張ってるよぉ……でも、思ってたほど天井が……>


 鉄柱樹なら勢いよく伸びれば、どんどん天井を貫いていくと思ったのだ。


『ヒュン!!』


『バシッ!!』


「ウワァーーッ!!」


 石のムチは、休まず球也を痛めつける。


 奈美は懐に手を入れる。火の精霊を出すつもりだったが、まだ粉砕された砂粒状態だ。


 どうにもできない。


「奈美ちゃん、聞くんだ!!」


 球也は奈美に声をかけた。


「ソーヤと一緒にいって、アビラの水を頼む」


 球也は片手でぶら下がり、容器を手にとって、上の奈美に差し出した。


 奈美は手を伸ばした。


 容器は受け取れた。だが、球也の手は取れなかった。


 奈美は容器ごと、球也を引っ張りたかったが、球也に容器を掴みきる、その力がなかった。


 球也は片手でぶら下がっているのみ。


「ソーヤ!! お前が行けると思うてやったんやったら、最後まで力を出してやれやっ!! 俺をこんな目に合わせて申し訳ないと思うんなら、責任をまっとうせいや!!」


 球也の声はソーヤに届いた。


<ごめん球也……さん……うちの考えが、甘かった>


 ソーヤの体の光が徐々に弱まっていく。


 読みが浅はかだった。


 一気に上まで行けると思った行動が、裏目に出た。


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