テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第11章 現実世界と大仕掛けの間

 鉄柱樹が微かに揺れている。


 エレベーターに乗っているような、フワッとした感覚が体に伝わった。


「ソーヤが本気出しよった」


 木が伸びてくるのがわかった。


 何本もの枝が生え、緑の葉がしげりだす。


「この木の成長、ここからなんや……」


 ソーヤが完全に光に包まれ、赤い球体と化した。


『ドドドドドド……』


 頭上から激しく轟く、地響きのような音。


 ついに、鉄柱樹が動き出した。


 グイグイと天井を下から突き上げる。


 パラパラと降り落ちる砂粒が、今度は石となり、やがて崩れたブロックと変わった。


 木が天井を破壊しているのだ。


 ついに大きな音をたて、天井に穴が空いた。


 次々に落ちてくる石のブロックは、鉄柱樹の葉や枝に弾かれ、下に落ちる。


 そのブロックは石像の上に落ち、次々と破壊していった。


 木はどんどんと上昇し、気がつけば、もう次の階に進んでいた。


 だが、まだ勢いは止まらない。


 木はゴゴゴっと音をたて、次々に天井を破壊し、一階、また一階と、奈美と球也を運んでいった。


 大きな石の塊が降り落ちる間もないほど、そのスピードは半端ではなかった。


 ソーヤの力が巨木を押し上げるように、育てている。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ