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修練の鏡と精霊の大地

第12章 光と虹の橋

「ちょ、ちょっと、本気で怒らんでくださいよ……格闘技の人が怒ったら怖いですやん……でも、僕らは一度ここを降りて、水を村に持っていかなきゃならないんだ」


「お、おい……て、ことは、俺はまたここで一人で考えなきゃならねえのかよ」


 勇樹は困り果てた表情で、頭をポリポリとかいた。


「待ったぁーっ!!」


 またまた、どこからか声がした。


「その水、俺が持って届けてやる」と声は、鉄柱樹が突き出た穴から聞こえた。


 そこからひょこっと、ユングが顔を出した。


「あっ!! ユングさん……そう言えばいたなぁ」


 球也はすっかりと、その存在を忘れていた。


「おいおい、球也くんよぉ、酷いよ。あんな石がバラバラ落ちてくる中で、石像をかわしながら、この木を登ってきたんだぜぇ」


「そう言えば……ケガはなかったっすか!?」


「もういいよ!!」


 反射神経と身の軽さがあるユングだからこそ、あの危険な石像の攻撃と、落石を避けながら、木を登ることが出来たのだ。


「奈美ちゃん、その容器貸して」とユングが手を出した。


「えっ!? どうするんですかぁ?」


「俺が村まで持っていくから……奈美ちゃん、球也くんと一緒に行ってサポート……あれ?」


 奈美についてある違和感が生じたが、ユングは気が付いてなかった。



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