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修練の鏡と精霊の大地

第12章 光と虹の橋

 ユングはさっと身を引き、端にある四角い窓を覗いた。


 下にらせん階段を見つけた。1つ下の階から下りることができる。


「じゃ、この水はまかせとけ!! みんな、あとは頼んだ!」


 そう言って、ユングは木をつたって、一階下に下りていった。


「なんだよあのチビ男……サッサと下りやがって……」


「あの人は僕らの仲間やねん。さて、どうします?」


 奈美、球也、勇樹の三人は、橋を目の前にして躊躇していた。




 渡るの怖い。




 それが理由だ。


「よし……決めた!!」


 球也は意を決した。


「佐田さん!! リーダーに一番を譲ります!!」


「まっ、待てっ!! 俺がいつお前らのリーダーになった!?」


「なに言うてはるんすか!! この中でやったら、やっぱ、年上で体も強い佐田さんが僕ら若手を引っ張ってもらわんと。ここは、一番先頭に立って……」


「いや、だからちょっと待てって! こんな綱渡り同然の橋……てか、これは本当に橋なのか!?」


 勇樹は下に落ちていた小さな石を拾い、虹に向かって投げてみた。


 石は橋の上に落ち、軽く跳ねてから転がった。


『ペーン、ペンペン……』


「……おい、なんか乾いた音がしたぞ」



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