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修練の鏡と精霊の大地

第12章 光と虹の橋

 しぶしぶ、球也は橋にのった。


 その後ろから、勇樹が足を置いた。


『ピシッ』


 いやな音がした。


「うわわわ……お前ら、距離を縮めるな……離して歩け」


「それ、怖くないっすか?」


「今でも充分怖い!! それに下を向くな!! 余計に怖いからなっ!!」


「両脇に柵もないのに、真っ直ぐ向いて歩けまっかいな!! 下向かないと……下向いても怖いしーっ!!」


 柵もない橋の上。普通に歩くと足元が怖い。


 しかし、下を向いて歩いても村が小さく見えるほど。


 僧侶の荒修行よりキツい。


 そんな中、奈美は強かった。


 スイスイと歩いていく。


 その後ろ、距離をおいて球也がソロソロと歩く。


 そして、勇樹が続く。


「こんなの、ざわざわする漫画で見たな……マジでやると、こんなキツいのか」


 勇樹はチラッと後ろを見た。


 その瞬間、このまま引き返そうかと思った。


 虹の精霊と光の精霊が人型の状態で、歯をくいしばりながら、プルプルと震えて耐えているのだ。


 あいつら、もつのか?



 てか、この先は本当に精霊の大地なのか?


 考えてみれば、この先が間違いなく精霊の大地だという確信はなかった。




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