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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 勇樹は腰に吊るしていた、白い布袋をはずした。


「クソしたいのに飯食いたいってどうなんだ? 余計に上から押し出す形になるんじゃねえか?」


 ブツブツと言いながら、少し足早に進んだ。


「おーい、球也くんストップ!」


 球也を呼び止めた。


 球也は足を止め、ゆっくりと振り向いた。


「な、なんすかぁ?」


「いいから、まず、そのまま止まっててくれ」


 怖々ながら、少しスピードを上げて、球也の傍に寄った。


 そして、球也に袋を差し出した。


「こ、これを……前の奈美に渡してやってくれ」


「ええっ!! 僕が!?」


「いや、腹減ってるようだから、この世界で作ってる赤米って米をおにぎりにしてんだよ。俺が持っていってもいいが、お前の横を通るのもキツいだろ」


「確かに……出来れば真ん中に立ってたいっす」


 球也は袋を受け取った。


 そして、歩幅を大きくして、ゆっくりと歩きだした。


「頼んだぞ……て、なんで俺がこんな世話しなくちゃならねぇんだ?」


 高所での恐怖心がそうしたのか?


 球也の伝達ミスなのか?


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