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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 球也は、精霊が担いでいるものを確かめた。


 精霊が、近付いてくる。そして球也の足元にくると、その担いできたものを下に置いた。


「あ……あれっ!?」と球也は声を上げた。


 それもそのはず。二体の精霊が持ってきたのは、動かなくなったソーヤだった。


「あれっ!? なんで!?」と球也は驚いた。


 持ってくるのを忘れたのか、それとも落としたのか?


 一番持ってこなければならなかったものを、持っていなかった。


「あ、佐田さぁーん!! これ、僕達が連れていた精霊のソーヤでしたぁ!!」


 勇樹はそれを、強張った表情で聞いていた。


「わかった……とりあえず、早くそいつらを帰らせろ」


 そう言うが、その声は球也には聴こえてはいない。


「わざわざ、ごめんなぁ、届けてくれたんやなぁ。ソーヤ、悪かった」


 球也はしゃがんで、ソーヤを手に取って、懐に入れた。


「きゅ、球也ーっ!! 早くそいつらを戻せぇーっ!!」


 勇樹が張り裂けんばかりの声で言った。


 球也は頭を上げ、勇樹の方を見た。


 その時……


「っ!!」


 とてつもない光景に、声が出なかった。


 血の気が下がるような事態が目に飛び込んできた。



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