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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 だが、精霊はすでに消えてしまった所を、浮遊してるかのように、走っていった。


「な、な、な、な、なにぃーー!?」


 精霊に見捨てられたのか?


 やがて橋は、勇樹の足の下まで、消失が進んだ。


「うわっ!! ダメダメ、落ちる落ちる……」


 恐怖を押さえ込み、足早に進む。


 それを見た球也も、慌てだした。


「いやいや、それ、あきませんて」


 球也も小走りで、前に進む。


 意外にも消失していく速度の方が、小走りよりも早かった。


「うわっうわっうわっ」


 思いきって走りたい。だが、走れない。


「うわぁっ!!」


 橋の消失が勇樹のかかとの下にまで進むと、覚悟を決めたのか、頭を押さえてうずくまってしまった。


 万事休す。


 体にとてつもない震えが走り、血流がゾワゾワとさせる。


 球也も心の中で、何度も神様に許しを乞う。


「許してください。許してください。もう、なにも悪いことしません。百円拾っても、ちゃんと交番に届けます。たのんますたのんます」


 ついに、球也の足の下の橋も消えた。




 フワッと体が浮いたような気がした。



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