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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

「球也っ!! 動くな!! そのまま耐えろ!!」


 勇樹がそう言っている。だが、意味がわからない。


 今の球也の心境は、パラシュート無しで、飛んでいる飛行機の翼の先に立っているようなものだ。


 そんな状況で、どうしろというのだ。


 思いきって進化して羽でも生えたら飛べるかも?


 進化するまで、どれだけ待てばいい。当たり前だが、このまま待っても、羽は生えない。


「球也ぁーっ!! 絶対動くな!! 動かなければ落ちないから」 


「な、な、な、な、なにを言うてんのさぁ!! てか、なんで落ちへんの!?」


 球也は震えながら言った。


 前を見ると、奈美も頭を押さえてうずくまっている。


 橋が消えた恐怖に、奈美も襲われているのだろう。


「いいか球也ぁーっ、それに奈美ぃーっ、聴こえるかぁ!!」


 勇樹の渾身からの声が届いたのだろう。奈美はウンウンと頷いた。


「俺の推測だがぁーっ、目に見えない橋が、そこに存在するっ!!」


「いいっ!?」


 微かにはわかってはいたが、あえてかいつまんで言われると、改めて納得した。



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