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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 そして、羽を大きくばたつかせ、球也に向かって急降下。


「うわーっ!! 気に触ったら平謝りするからそれだけは、やめて!!」


 翼竜はこっちに向かって、襲ってくる。こんな状況では、球也はなにもできない。


「アカーーン!! 喰われるかぶつかって落とされるか、どっちかやぁーー!!」


 高所で身動きできない恐怖と、上から襲ってくる恐怖、2つの恐怖が1つになった。


「球也ぁーっ!! 頑張れ!!」


 後ろから、ジリジリとほふく前進しながら勇樹が叫ぶ。


 そう言われて頑張っても、耐えることしかできない。


 球也は頭を押さえ、身を縮めた。


 翼竜が急降下しながら突進してきた。


『ギャードゥーッ!!』


「さっきより鳴き声が短かなってるやん!! 噛んだからって諦めるなっ!!」


 どんな窮地でも、ツッコミだけは忘れない。こんな関西の高校生は珍しいであろう。


 鳥が海に泳ぐ魚を捕るように、鋭いクチバシから突っ込んできた。


「球也ぁーっ!!」


 勇樹には叫ぶことしかできなかった。


 次こそ、本当に死ぬ。


 そう思った。



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