テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

「間に合ったな……」


 ポツリと、そう言ったのは勇樹だった。


 見ると、勇樹の体にも緑色のツルが絡んでいた。


「助かった……」と勇樹は、胸を撫で下ろした。


 奇跡的な出来事で、球也は言葉が出なかった。


 自分の足元に目をやると、すぐそばで、小さくガッツポーズをする10cmほどの、緑色の小人の姿が見えた。


 その小人は、なにかの精霊のようだ。


 こいつが助けてくれた……球也はそう受け止めた。


「は……はりあとぅ……」


 かすれた声で、助けてもらった礼を言った。


「おい、球也!!」


 ゆっくりとほふく前進しながら、勇樹が近付いてきた。


「さ……佐田ひゃん……」


「おいおい、情けない顔すんなよ!! 助かったんだからよ」


 そう言うと、勇樹は緑色の小人を招き寄せた。


「こいつは俺が持っていた、樹木の精霊だ。咄嗟だったから、早く対応できるかどうかは、精霊次第だったから……よかった、上手くいって……」


 精霊は石に姿を変えると、勇樹はそれを懐にしまった。


 球也は安心したのか、グッタリとうなだれた。


「助かりましたぁ……ありがとうございますぅ……」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ