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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 前を見て、なるべく奈美に近付いて、真後ろから進んだ方がついて行きやすい。


 だが、それをすると、後ろの勇樹がついてこれるかどうか……。


 落下防止用のツルで繋がれている状態では、自分だけが勝手な行動をするわけにはいかない。


 こうなったら、奈美に待ってもらおう。


 そう判断して、球也は前にいる奈美に呼び掛けた。


「おぉーい、奈美ちゃーん!!」


 奈美は止まって、振り向いた。


「ちょっと、そのままで待ってて!!」


「どうしてです?」


「どうしてって、こんだけ離れとったら、どこでどうカーブするのか、わかりずらいやん。だから、奈美ちゃんのすぐ後ろについて、芋虫のように進んだ方が危なくないんちゃうかなぁ?」


「あ、それなら大丈夫ですぅ〜」


 どう大丈夫なんだろうか?


 自信ありげな奈美の表情に、球也は返事を詰まらせた。


「この精霊くんが、道わかるみたいなんです」


 精霊くんとは、樹木の精霊のことだ。


「いや、それがわかってても、我々には見えへんで」と球也が言った。


 すると、後ろから……


「いや、どうやら精霊にはこれが見えるようだ。あの光と虹の精霊が、走って塔まで戻っていったからな」



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