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修練の鏡と精霊の大地

第13章 橋の上の攻防

 勇樹は汗だくになりながら、言い続けた。


「やつらは橋が見えていても体が小さいから、この橋の幅なんかかなり広く感じるんだろう。だから怖くないんだろうな」


「でも、僕らが見えへんから一緒ですやん」


「だから、奈美がなにか考えたんじゃねえか? 俺にはそう思えた。ま、やつに任せようぜ」


 勇樹はこの場の打開策を、奈美に丸投げした。


 今の自分では、なにもできないからだ。


 奈美は精霊にコソコソと、耳打ちしているようだ。


「じゃ、お願いね」


 奈美は樹木の精霊に、そう言うと、ゆっくりとその場で立ち上がった。


 精霊がグッと力をこめる。そして、なにやら小声で呟きはじめた。


 なんと言っているのかは、まったく聞き取れはしなかったが、相当な技を見せてくれるようだ。


『バババババババ!!』


 突然、ラジオの雑音のような音がした。


 すると、橋の上を埋め尽くすかのような量の枯れ葉が、道に沿って出現した。それも、かなり遠くまで続いた。


「やったぁ!」


 奈美は喜んだ。


「うわっ!! すげぇ!!」


 球也も目を丸くする。


 橋を見えるようにできるのは、光と虹の精霊だけではなかった。


 他にも方法はあった。それを、奈美が見付けてくれた。


 勇樹は奈美に対して、後ろから拍手を贈った。




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